無線機
正太郎少年の操る高度な技術の結晶の無線操縦システムは、その電波到達能力においても比類のないものだった。ニホンのロボット工学の到達点としてのその鋼鉄製の巨大な身体を自由自在に操れるのは正太郎少年だけと誰もが思っていたのだ。しかし、盲点はそこにもあった。ひとたびその無線操縦システムの核としてのリモコン無線機を敵対勢力に奪われたとたんに、鉄人は悪の権化と化す。銀行強盗から現金輸送車襲撃まで、悪の手先として自由自在に操られて動き回る鉄人はまさしく恐怖の対象になった。正太郎少年の無念の台詞「ううーん、これがロボットの悲しさか・・」は、いまでも耳元に残っている。無線機というアイテムひとつで一瞬にしてそれまでの正義の味方が悪の手先になりうる事を当時の少年たちは等しく学んだのだった。
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つまりそれは表裏一体という事なのだろうか・・